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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁

青空文庫

「――誰か烏の雌雄を決せんや、でもありました」

ぎゅッと士官の靴が鳴った。

「まして土民どもは」と、阿賀妻は後から、それを追い立てるように言った、「見あやまるのも無理はない、ここは陸中宮古の港からさえ何ほど離れておりますまい」

「まず、しかしながら、武士と見られた、もって瞑すべきでござる、船には一門、海賊に備えて砲が積んでありました、移民船が戦艦と見られた――か、これまた冥加々々」

そう云ったのは大沼喜三郎であった。

寒い夜風が吹きつけるのだ。

彼らはあわてて身のまわりを見直すようにした。暗闇のなかにある自分の姿が、あまりにありありと脳裏に描きだされる。武士と見えたならば、腰にある刀のおかげでしかなかろう。つづらを担ぎあげ、大きな風呂敷包みを横抱きに、女子供の手を曳いてさんまんと歩いている。家財道具をひっ担いで山に脱れたここの土民どもと較べて、どれだけの差があるというのか。外面の相似が心の相似にまで通ずるような気もする。

「武者ならば――まさに落ち武者、心の難民」と、大沼が云った。

燃え立っている炉火がくわッくわと見えだした。焔の明るみは、寒い髄までふわりと温かみを送るのである。