輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁

青空文庫

それが済むと、こんどは高倉が、鋸屋の風除けになった。彼は背負ごのなかから雲斎織の上ッぱりを出した。風に揉まれてくるくる舞いながら、ながいことかかって襟をかき合せた。

とにかく一刻も早く山をおりなければならぬと思った。晴れていたならば、彼らの目ざすトウベツは、ここからは指呼の間にある。

その励まし合いを嗤うように、風はますます猛々しくなった。粉雪は視界をすべて覆った。ふいに、茫々としたうす闇のなかに立っていた。それでも彼らは歩きだした。心覚えの方向を取って進んで行った。取りだした磁石には、針も見定めぬうちに粉雪が凍りついた。その金属が指にぴたっと吸着した。そこを、巻き風が平手打ちのようにたたきつけるのだ。よろけた足を踏みしめたときには、その風に押しこくられて幾らか方角が異ったような気がした。そう思って迷いだすと、今まで歩いていた彼らの前後左右が見喪われた。どちらを向いても偽りのような気がした。急に高倉は蹲んだ。彼はそうやって、磁石を内ぶところに入れた。体温をあたえた。それから方角を取り戻した。

イシカリの大きな原野が、宏い空と呼応して吹雪きだしたのであった。