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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁
七
松岡長吉がそう指図していた。
七
「よし、よし――」と、相田清祐は独りうなずいて、「いよいよ渡って来なさる」と眼をあげた。
微笑がこぼれていた。
「何日が出立でございましたかな」
「たしか――この月、二十一日、どれどれ」
彼は書かれた巻紙をまた捲きかえしていた。何べんでも質問を受けたかったのだ。書面の文字を見ていると、ほうふつとした快よいものが身を包んだ。
「たしかに――二十一日荻ノ浜出帆の予定とある、えとはどうなるかな」
「今ごろは、あちらでは、上を下への騒ぎでしょうなア」
「そうとも、騒ぎだとも」
それも、今朝から何べんとなく云った言葉であった。
「船は開拓使の庚午丸」と相田は口を入れた、「二年の間には、お国もよほど進んだと見えますのう」
「――で、ご祐筆、あれを、も一度読みあげて下さらぬか」
「さて、さて――」と彼は大きく合点をした。そして、幾らか皺めの出来た手紙をまた巻きなおした。
誰か、土間の方にいたものが炉火をかき立てた。薪は遠慮なく燃えあがった。焔は、木の皮で葺いた褐色の屋根裏にまで届くかと思われた。
炉の正面には、框に近く相田清祐が正坐していた。そこだけ敷いた花ござの模様がちらッと見えた。