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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《社会時評(しゃかいじひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 頁

青空文庫

処で原博士の所感だが、「貧農の救済は一刻も躊躇はならぬ、しかし、僕の痛感したのは中農の悲惨な実状である。かれ等は平素相当な生活をしていたため、現在ではその所有品を売払ひ、その上、働いても食がない、こうした中農の救済についても当局は大いに考慮してやってもらいたい、」云々(東日十一月七日付)。之で見ると政府は、専ら貧農を救済していることになるが、私は今迄政府が救済するのは、中農小地主以上だとばかり信じていた。だが、博士はここで科学者として語っているのではなくて、一個の例の「同情」者として話しているのだから、あまり信用する義務はあるまい。ここでも結論は「同情」に帰着しているからだ。

東北の冷害という「自然現象」に対する渦巻く同情の嵐を他処にして、社会現象としては、同地方の小作争議は年末と寒さに向って刻々に深刻化して行っている。今年は一月から九月迄の間に全国に四千の小作争議が発生したが、前年よりも五百件多い割になっている。その内小作人側から小作継続を要求するものが実に六十二パーセントを占めているというのだ。青森県などでは各町村に小作争議防止委員会を組織せしめ、相不変、町村長・警察署長・農会技師を始めとして、地主代表と小作人代表とを夫々一名ずつ会商せしめることにしているそうだ。