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かみがみのびしょう

神神の微笑

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《神神の微笑(かみがみのびしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,156 字 · 19 頁

青空文庫

支那や印度も変ったのです。西洋も変らなければなりません。我々は木々の中にもいます。浅い水の流れにもいます。薔薇の花を渡る風にもいます。寺の壁に残る夕明りにもいます。どこにでも、またいつでもいます。御気をつけなさい。御気をつけなさい。………」

その声がとうとう絶えたと思うと、老人の姿も夕闇の中へ、影が消えるように消えてしまった。と同時に寺の塔からは、眉をひそめたオルガンティノの上へ、アヴェ・マリアの鐘が響き始めた。

×          ×          ×

南蛮寺のパアドレ・オルガンティノは、――いや、オルガンティノに限った事ではない。悠々とアビトの裾を引いた、鼻の高い紅毛人は、黄昏の光の漂った、架空の月桂や薔薇の中から、一双の屏風へ帰って行った。南蛮船入津の図を描いた、三世紀以前の古屏風へ。

さようなら。パアドレ・オルガンティノ! 君は今君の仲間と、日本の海辺を歩きながら、金泥の霞に旗を挙げた、大きい南蛮船を眺めている。泥烏須が勝つか、大日貴が勝つか――それはまだ現在でも、容易に断定は出来ないかも知れない。が、やがては我々の事業が、断定を与うべき問題である。