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ふくざわゆきち
福沢諭吉
高山 毅
線上閱讀高山 毅《福沢諭吉(ふくざわゆきち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,555 字 · 109 頁
こしに大小の刀をさしているので、士族(さむらいの家がら)の子どもとすぐわかりますが、ふるぼけたふろしきづつみを左の小わきにかかえ、小さなとっくりをその手にさげています。どうやら少年は、町に買いものにきたかえりのようでした。
町人たちは、さも、ふしぎなものをみたといわんばかりに、少年のうしろすがたをゆびさして、ささやきあいました。
「おさむらいの子が、まっ昼間、どうどうと、びんぼうどっくりをさげて、買いものにくるとは、おどろいたな。」
「まったくだ。ちかごろは、おさむらいも、ふところぐあいがよくないとみえて、一しょう(一・八リットル)どっくりをさげて買いにみえるが、はずかしそうにほおかむりをして、しかも、日のくれがたとか、夜になってから、買いにくるというのが、ふつうだからな。」
「まあ、おさむらいには、士族としての体面(せけんにたいするていさい)があるからな。それを、あのようにどうどうと……いったい、どこの子どもだろう。」
町人たちがはなしている、その少年は、じりじりとてりつける太陽にあせばんだのか、ときおり、右手で、ひたいのあせをふきながら、士族やしきへかえっていきました。