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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

斯波高経、今川範国、二階堂時綱、小笠原政長、上杉朝定、同朝房。

そのほか、南流して去る兵旗ばかりである。

山名時氏のごときは、きのうまで尊氏の下にいたのに、この趨勢を見ると、尊氏を離れ、一夜、とつぜん直義方の八幡の陣へ投じてしまった。

「こんなものか?」

泡のような呟きが尊氏の胸に消えた。これまでにしてきたこと、見つけていた人間の顔、すべてが信じられなくなった。いや洛中にいることすらがすでに危険になっていた。

「ぜひもない」

一時、都を退いて、陣容をたて直すときめ、義詮や師直と共に、尊氏は丹波へ走った。そしてまた播磨の書写山へ移り、そこで石見から馳せつけて来た高ノ師泰の一軍とひとつになった。

細川顕氏が反いて窮地の尊氏をさらに窮地におとし入れたのは二月十四日だった。四国もついに彼から離れたのである。

「顕氏までがか?」

尊氏は耳を疑った。師直、師泰にたいする反感が、顕氏までを敵側に走らせたものであると分っていたが、それにせよ今はどこも四面楚歌である。腹をすえる時だと思った。

「道は一途。このうえは直義と話がつくか、さなくば、一戦もぜひあるまい」

書写山のかこみを破って、十七日、師直、師泰の兵を先手に、兵庫へ出、さらに御影街道へと、怒りの奔流を見せていた。