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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁
「河内へ退こう。河内、和泉、摂津の兵を糾合し、敵の天王寺へ突いて出よう。かしこに拠れば、海の口を扼し、かたがた、淀をさかのぼって、京都回復の作戦に出ることもできる」
こう決意すると、彼は、義良親王の前に伏した。親王はやっと十二になったばかりの童形である。顕家は、兄のように諭して言った。
「宮様とは、数年の間、みちのくの艱苦を共にしてまいりましたが、ここにてお別れ申さねばなりません。供人を添えてお送りいたしますゆえ、吉野へおわたり下さいまし。吉野には御父のみかど、御母の君(准后ノ廉子)、みなおいで遊ばします。わけて御母の君にはどんなにお顔を見たがっていらっしゃることでしょう。……この顕家も、やがて都を取り返したあかつきには、さっそく吉野へ罷りいでますれば……」
「…………」
親王はただうなずいていらっしゃる。
親王は七ツ、顕家もまだ十六のときから、この幼い君臣は、朝廷を代表して、陸奥の遠くへ赴任し、多年風雪の苦を共にしてきたのである。親王にすれば父母以上にも慕われていた顕家であったろう。こらえ泣きのせきをやぶって泣かれたが、やがて、なだめすかしてようやく吉野へお送りしたのであった。