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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

やっと、寺号はここに「天龍寺」ときまって、叡山のやっかみもどうにかなだめられたので、始めてその地曳式(地鎮祭)が、広大な亀山離宮跡の敷地でおこなわれた。それは、

暦応四年の七月十三日

で、このあいだ、一年半もたっていた。が、地曳式当日には、勅使ものぞみ、また、

開山の夢窓国師

尊氏、直義、高ノ師直、細川和氏らの造営奉行

臨川寺の無極禅師、等持院の古先禅師

そのほか檀越の公卿、武家、数千人が列し、式は盛大をきわめた。

式は、夢窓が“開山ニ就クノ弁”に始まって、

「ここに尊氏、直義の発願によって、天龍寺を創つ――」

の一文を読んだ。

それの文意の中で、夢窓は、後醍醐の生涯を

――戦争の罪悪と不幸とを担う苦悩の象徴

と見なし、また尊氏兄弟は、それへの悔悟と罪ほろぼしのために、ここに、恒久の平和を祈って、人類の苦悩迷妄を救うべき一大寺の建立を思い立ったものであると、宣誓していた。

終ると。

開山の国師は、沓を脱いではだしとなった。そして法衣の袖をうしろにたくし巻いて、みずから鍬を把り、竹の平籠に二杯の土を盛る。これにならって、尊氏直義の兄弟も、はだしになってその竹籠の土をかつぐ。