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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《秋の駕籠(あきのかご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 頁
「あたしは気にいりましたよ、ええ、お梅ちゃんから聞いてましてね、友達というものはそうなくちゃあならない、お世辞じゃないがいいもんですな、じつにいいもんですよ、ええ」
六助は眼をすぼめた。いつのまにどうしてそんなことになったか、例のいそという商人風の客が、二人の席へ来て坐っていた。
「どうしたんだこれは」六助は中次を見て云った、「この人はいつ此処へ来たんだ」
「箱根までゆくんだ」中次がもつれる舌で答えた、「通し駕籠で箱根までよ、おれとおめえとで、駄賃は五両だ」
「箱根がどうしたって」
「まあまあ、一つぐっとやって下さい」いそという男が云った、「話はもう定ったんだから、おまえさんたちの仲の良さに惚れちまってね、ちょうど遊山旅に出たいと思ってたもんだから、どうせなんならおまえさんたちの駕籠でゆきたいと思ってさ、いいえお世辞じゃない本当ですよ、まあ一つぐっと」
「わけがわからねえ」六助は首を振った、「通し駕籠で五両、……箱根まで、……ういっ」
じつのところ六助はわけがわからなくなった。暗闇や、八間の灯や、人の顔がちらちらし、器物の音や、誰かの話したり笑ったりする声などが、遠くなり近くなったりして聞えた。