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しゅうふうふき

秋風不帰

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《秋風不帰(しゅうふうふき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,593 字 · 28 頁

青空文庫

筆頭国家老小野儀兵衛の二男だ。もう嫁を娶ったのかと眼を移した夏雄は、新妻の横顔を見るなり、

――あっ!

と危く叫びそうになった。

夫婦はすぐに廊下を去って行ったので、ほんの一瞥に過ぎなかったが、女の横顔は焼き着くように眼に残った。

――慥かに、否……まさか。

夏雄は植込みから出た。

廊下を吉郎兵衛が戻って来た。……そのまま障子をあけて入ろうとした時、夏雄はすっと縁先に近寄りながら、

「七沢……」と、声を掛けた。

「…………?」

「拙者だ」

吉郎兵衛は相手を認めると、驚きながら素早く四辺を見廻してから、黙って入れという身振をした。

灯火を片寄せて対座すると、

「挨拶は抜きにする、七沢」

と、夏雄はすぐに切り出した。

「昨夕の樽屋町の騒ぎは聞いたろうな」

「……聞いた」

「まるで夢のようだ。父が逆上してお上へ刃を向けたなど、拙者には到底信ずることは出来ぬ。若し事実なら放し討ちの手を待つまでもなく、むろん割腹して父の後を追うつもりでいるが、……五年振りで帰って、いきなり聞かされても、とてもそうかと信じられないのだ」

「無理はない、それは当然だ」

「くわしい事が知りたいのだ。