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かがくろん

科学論

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《科学論(かがくろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 頁

青空文庫

之は社会の言わば静力学的な構造に相当するだろう。之を一言で要約すれば、社会の物質的な下部構造の方が、社会の精神的な上部構造の方を、決定・規定する、ということである。人間の意識が社会の存在を決定するのではなくて、社会の客観的存在が人間の意識を決定する。之は、唯物史観の定説に於ける、唯物論のモメントを言い表わす。

社会は併し常に歴史的社会である、社会は常にその静止的組織を組織替えしつつ生活する処の、言わば一つの生命過程である。だからその静力学は言わばその動力学に相当するものにまで編入し直されなくてはならない。今迄無雑作に静力学的に述べて来た社会の構造は、実は決して単なる――静止的関係としての――所謂構造ではなくて、そういう静止的構造が組織替えされて行く処の、過程それ自身の構造でなければならなかった。社会の下部構造が社会の上部構造を決定すると言ったことは、決して後者が前者の上に位置するということだけではない、それならば無意味な同語反覆に過ぎないだろう。そうではなくて、社会全体が歴史的に運動するに当って、その運動がまず下部構造から起こり、之が上部構造の運動を呼び起こすと考えることによって、この運動全体が統一的に分析出来る、ということだったのである。