輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
線上閱讀海野 十三《空襲葬送曲(くうしゅうそうそうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 頁
このとき、中佐の両手は、ポケットのうちにあった。
彼は再び、元来た路を、とってかえすと、司令部広間の扉の前を素早く通り、それから後はドンドン駈け出して行った。
中佐の身長が、その先の階段に跳ねあがった。十段ばかり上ると、そこに巌丈な鉄扉があって、その上に赤ペンキで、重大らしい符牒が無雑作に書かれてあった。中佐はそれには眼も呉れず、扉のあちらこちらを、押えたり、グルグル指を廻したりしているうちに、サッとその重い鉄扉を開くと、ちょっと後を振返り、誰も見てないのを確めた上で、ヒラリと扉の中に姿を消してしまったのだった。
「……」
誰もいないと思った階段の下から、ヌッと坊主頭が出た。しばらくすると、全身を現した。襟章は蝦茶の、通信員である一等兵の服装だった。彼は中佐の姿の消えた扉の前に、躍り出ると、手袋をはいたまま、力を籠めて把手をひっぱってみたが、扉はゴトリとも動かなかった。
そこで彼はニヤニヤと笑うと、扉の前を淡白に離れ、廊下の上をコトコトと駈け出していった。そして何処かに、姿は見えなくなった。
丁度そのころ、大東京ははしかにでも罹ったように、あちらでも、こちらでも、騒然としていた。