輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

線上閱讀海野 十三《空襲葬送曲(くうしゅうそうそうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 頁

青空文庫

印袢纏は、駿河台に病院の多いのを思い出したのだった。

「ちがうよ」と、あっさり云った。「君は、どこへ逃げるのかい」

「あっしのことかネ。あっしは、逃げたりなんぞ、するものか。今夜は閑暇になったもんだから、一つ市中へ出てみようと思うんで」

「ナニ、閑暇だから、市中へ出る――」髯は、髯をつまんで、苦笑した。「それにしては、すこし、空中も、地上も騒がしいぞ」

その言葉を、裏書するように、どーンと又一つ、火柱が立った。赤坂の方らしい。

「あっしは、平気ですよ」印袢纏が言った。「ねえ旦那、アメリカの飛行機が、攻めて来たかは知らねえが、東京の人間たちのこの慌て加減は、どうです。震災のときにも、ちょいと騒いだが、今度は、それに輪を十本も掛けたようなものだ。青年団が何です。消防隊が何です。交通整理も、在郷軍人会も、お巡りさんも、なっちゃいない。第一、あっし達の献納した愛国号の働きも、一向無いと見えて、この爆弾の落っこちることァ、どうです。防護隊というのがあるということだが、死人同様だァな、畜生」

髯は無言で、場所を出てゆこうとしたが、生憎、又ピカリと窓硝子が光ったので、印袢纏に発見されてしまった。