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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

線上閱讀海野 十三《空襲葬送曲(くうしゅうそうそうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 頁

青空文庫

「騙されてはいけない、市民諸君、これは偽放送だッ」

大きな声で、保狸口のアナウンスを圧倒した者があった。

ズドーン。

銃声一発。

ドタリと、マイクロフォンの前に仆れたのは、素六だった。

指導者鬼川の手にしたピストルの銃口からは、紫煙が静かに舞いあがっていた。

「呀ッ、素六、素六。しっかり、おしよ。素六ちゃーん」

鬼川は、断髪女が、仆れた少年を抱いて、大声で呼び戻しているのを見ると、又もや、ズドンと、第二発目を、紅子に向けた。しかし、それは手許が狂って当らなかった。

死んだのかと思った素六が、ムクムクと起き上った。

「電灯をつけては、いけない。まだ敵の飛行機は――」

そこまで云うと、素六の頭部は、ガーンとして、何にも聞こえなくなった。保狸口が飛出して、素六を殴りつけたのだった。

そのとき、突然、局内の電灯が、一時に消えた。

「同志、配電盤を、配電盤を……」鬼川の叫ぶ声がした。

携帯電灯の薄明りで、室内が、更めて眺めまわされたとき、素六の身体も、紅子の姿も見当らなかった。それに代って、大きな図体の男が、長々と伸びていた。その額からは、絹糸をひっぱり出したような血のあとが認められた。