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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
線上閱讀海野 十三《空襲警報(くうしゅうけいほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 頁
空襲下でも、交通機関は、できるだけ平常どおり動かさねばならぬ――と、鉄道大臣は、大きな覚悟をいいあらわした。
それは全くむつかしい仕事のうちでも、ことにむつかしい仕事であるのに、鉄道省は、見事にそれをやってのけた。……黒白もわかぬ暗黒の夜に、蛍火のような信号灯一つをたよりに、列車でもなんでも、ふだんと変わらぬ速さと変わらぬ時間で運転するなんて、神さまでも、ちょっとやれるとおっしゃらないだろう。
――これを実際にやってのけたのだから、日本の鉄道の人たちは天晴なものだった。踏切や町かどの交通整理を引受けて、働いた青年団員も、実に偉かった。
「おどろきましたねェ、まったく……」
と、辻村という商人体の乗客が口を開いた。列車の内はすべて電灯に紫布の被がかけられていた。
「国がどうなるかというドタン場に、こうも落ちつきはらって、自分の職場を守りつづけるなんて、イヤ、どうも日本人という国民はえらいですな」
「いや全く、そのとおりでさあ」
と職工らしいガッチリした身体の男があいづちをうって答えた。
「われわれの先祖が、神武天皇に従って東征にのぼったときからの大和魂ですよ。