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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

線上閱讀海野 十三《空襲警報(くうしゅうけいほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 頁

青空文庫

「オロオロオロオロ、ばァ」

とやった。

「じいタン。ばァばァ」

正彦坊やは、まわらぬ口を動かしてキャッキャッと若い母の腕の上ではねた。

「さあ旗男君。早いところ行軍を始めようぜ。――分隊前へ……」

国彦中尉はふざけた号令をかけると、正彦坊やを露子の手からうけとり、先頭に立った。浜から義兄の家まではすぐだった。

すっかり打水をした広い庭に面した八畳の間に、立派な食卓が出ていて、子守の清がひとりで番をしていた。

「ああ、咽喉がかわいた。何よりも西瓜をはやく出せ」

義兄は洗い場で身体を洗いながら大声で叫んだ。ホホホと、お勝手の方で姉の露子と子守の清のほがらかに笑う声がした。まったく和やかな光景だった。旗男も知らぬ間に自分ひとりで笑っているのに気がついた。

――こんな平和な家庭、こんな平和な国。……それだのに、遠く離れたS国の爆撃機をおそれなければならないのか。

国彦中尉は浴衣姿となり、正坊を抱いてニコニコしながら座敷へはいってきた。入れちがいに旗男は、湯殿の方に立った。途中台所をとおると、大きな西瓜が、俎の上にのっていた。旗男はのどから手が出そうだった。

風呂槽からザアザアと水をかぶっていると、隣の台所で、清の脅えたような声が、ふと、旗男の耳にひびいた。