輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かさおりはんくろう

笠折半九郎

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《笠折半九郎(かさおりはんくろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,004 字 · 26 頁

青空文庫

三

斯うなると、考えることはそんな自分を唆しかけるものだけになる、なんでも宜い底の底まで自分を追い詰めて、胸に溢れている妄念を一挙に爆発させてみたい、そういうすてばちな衝動が全く半九郎を捉えてしまった。……ちょうどそこへ、まるで油へ火を投げるような事が起ったのである。

三

「申上げます」

家士の五郎次が襖を明けた。

「呼ばぬうちは来るなと申してある、退れ」

「お客来でございます」

「会わん、誰にも会わんぞ、病臥して居ると云って追い返してしまえ」

「そうお断り申したのですが」

家士は困惑した様子で云った。

「病床でなりとも達てお眼にかかりたいと、みなさま押しての仰せでございます」

「みなさま? ……誰と誰だ」

「柳河三郎兵衛さま、殿村靱負さま、長谷部伝蔵さま、由井、大道の方々でございます」

西丸詰め、二の丸詰めの者たちで、ことに大道市次郎と由井十兵衛は番頭格であるが、孰れもそう親しく往来している訳ではない。

「会ってやる、通して置け」

半九郎は支度を直しに立った。

客間に待っていた五人は病床の見舞いを述べるでもなく、押して面会を求めた釈明をしようともせず、半九郎が座につくのを待兼ねたように、由井十兵衛が直ぐ要談をはじめた。