輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《第二の接吻(だいにのせっぷん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 頁

青空文庫

彼は、京子がお手洗いへ立つかどうかして、倭文子と二人きりになる機会が、必ずあるに相違ないと楽しみにしていた。だが、京子が立つと倭文子は影のように寄り添って立った。京子が村川を一尺離れると、倭文子は二尺離れていた。京子が一間離れると倭文子は一間一尺離れていた。その上、グリルルームで三人で食事をするときなど、倭文子は村川には、直接には一言も口をきかなかった。村川の方から話しかけると倭文子は、出来るだけ短い返事を探し出して答えた。そして、村川の顔などは、正面からは一度だって見なかった。

「村川さんとは、少しでも親しくしてはいけません。」

そんな無上命令が、京子から出ているようだった。むろん、ハッキリと口に出してはいわれなくっても、暗々裡にそう命ぜられているようだった。

村川は、ショパンのワルツを聴きながら、スッカリ憂欝になってしまった。倭文子が、それほど京子を憚っている以上、自分がどれほど彼女を愛しても絶望に違いないと思った。だが、そうした障害を感ずれば感ずるほど、彼の思慕は募って行くのだった。

その上、倭文子が上辺だけは、彼に対して、どんなによそよそしい態度をしていても、彼はカーテンの陰で、彼に対して与えた彼女の微笑を忘れる事は出来なかった。