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はんちゅうとしてのくうかんについて

範疇としての空間に就いて

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《範疇としての空間に就いて(はんちゅうとしてのくうかんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,453 字 · 89 頁

青空文庫

吾々は確かに空間の表象を持っている、これは疑うべくもない事実である。そこで心理学は之をどう説明するか。この場合二つの説明の仕方――その間に切り離すことの出来ない連絡はあるが――を区別出来ると思う。一つは始めから空間表象を与えられたものと仮定しその上でそれの色々の規定を見出そうとする仕方である。例えば空間閾の研究、空間に関する錯覚の研究などが之に属しているであろう。この種の研究は已に空間そのものを予想しているから従ってその限りに於て、空間とは何であるかという空間そのものの研究ではなくして、空間の持っている種々な Merkmale の枚挙とその関係づけであるのに外ならない。それ故この説明の仕方は限りなく進むにも関らず遂に空間が空間である所以のもの――空間とは何であるかと問われたもの――を説明することは出来ない。そこで之を説明しようと企てるのが他の一つの説明の仕方である。即ち空間の発生の問題がそれである。発生という時人々は往々直ちに種属発生的な又は個体発生的な発生に思い至るかのようであるが、併し少くとも空間表象に就いては、このような発生の概念――それを anthropologisch と呼ぶとすれば――の外により実りあるも一つの発生の概念――之が心理学的と呼ばれるべきである――が行なわれる。