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ふんにょうたん

糞尿譚

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《糞尿譚(ふんにょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,974 字 · 99 頁

青空文庫

なり、茫漠とした孤独感のみがひたひたと胸をひたした。悲しみも喜びも忘却した空虚な気持であった。いつかの晩、お互だといいながら肩を叩いて酒を飲んだ市役所の杉山課長を、何かしら味方に得たような気持であったが、あの翌日、市役所に行き、杉山さん、昨夜は失礼しましたな、というと、杉山氏は眼をしょぼつかせ、腑に落ちぬ様子で、なにが? と聞き返し、一向なんにも覚えていない様子で、相かわらず、がみがみと喧しく云うのであった。がっかりして、悄然と市役所を出たのであった。今、トラックに揺られながら、彦太郎は鉈豆煙管を噛み、深い秋に見いっていた。トラックの箱の方には人夫が一人乗っている。二十荷の桶がぶっつかり、たぽたぽと鳴る。ぎぎぎと軋み、トラックが急停車したので、前の板で大方額を打つところであった。トラックは唐人川尻の土橋の畔に止まっていた。沢田がよいしょと掛声をかけて飛び下りた。小森も鉈豆煙管を腰にさし、つづいて下りた。唐人川尻の壺に糞尿を棄てに来たのだ。億劫そうに李聖学が長髯をひねりながらのろくさい様子で箱から下り、箱の蓋を取った。トラックの横にくくりつけた小さいリヤカアを外し、三人は協力して桶を下した。