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こうもうけいせい

紅毛傾城

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《紅毛傾城(こうもうけいせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,403 字 · 50 頁

青空文庫

その間私は、いつ海が見えるか、見えるかと思いながら、草原の涯に、それは広大な幻を描いておりました。なぜかと申しますなら、父を奪い去った海、あの自由な不思議な水の国を見て、私は自分の運命を、泣きもしようし悲しみもしようし、またその底深くに、もしやしたら、あきらめがありはしないかと思われたからです。

そうして、とうとう海に近い、チウメンまでたどりついたのですが、それは氷が割れて、新しい苔が芽を吹き出す五月のこと、それでかかった十数年の旅の間に、私はすっかり、熟し切った処女になっておりました。ところが、チウメンに宿を求めた、三日目の夜のこと、私は思いがけなく父に出会ったのでした」

「したが、成人されたそもじを、父はどうして知りやったのじゃ、さぞ幼いころの面影を思い出して、そもじの父は、泣きやったであろうな」

とわがことのように、紅琴が急き入るにもかかわらず、フローラはいっこうに表情を変えなかった。

「いいえ、それはこうなのでございます。実は、炉辺のつれづれ話に、うっかり私は、本名を明かしてしまったのです。すると、そばにおりました富有そうな老人が、やにわに私の腕をつかんで、別室に引き入れました。