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じゅんすいしょうせつろん

純粋小説論

横光 利一

線上閱讀横光 利一《純粋小説論(じゅんすいしょうせつろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,519 字 · 24 頁

青空文庫

日本人の思想運用の限界が、これで一般文人に判明してしまった以上は、日本の真の意味の現実が初めて人々の面前に生じて来たのと同様であるのだから、いままであまりに考えられなかった民族について考える時機も、いよいよ来たのだと思う。私に今一番外国の文人の中で興味深く思うのは、ヴァレリイとジイドであるが、ジイドの転向に反して、ヴァレリイの動かぬのはただ単に思想実践力の両者の相違とばかりには思えない。一人は分ったから動き、一人は分ったから動かぬのか、あるいは、一人は分らぬから動き、他は分らぬから動かぬか、そのどちらかであろう。しかし、分り、分らぬとは、どこが違うか誰も定めたのではない。ただ私には、亜細亜のことは自分は知らぬから、云わないだけだと云ったヴァレリイの言葉が一番に私の胸を打つ。ところが、わが国の文人は、亜細亜のことよりヨーロッパの事の方をよく知っているのである。日本文学の伝統とは、フランス文学であり、ロシア文学だ。もうこの上、日本から日本人としての純粋小説が現れなければ、むしろ作家は筆を折るに如くはあるまい。近ごろ、英国では十八世紀の通俗小説として通っていたトムジョーンズという作品が、純粋小説として英国文壇で復活して来たということだが、我国の通俗小説の中にも、念入りに験べたなら、あるいは純粋小説があるのかも