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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 頁

青空文庫

―――と云うのだそうであるが、板倉は又、それを極端に否定する。啓坊の云やはることはえらい誤解だ。僕がこいさんを助けて上げたのは、こいさんが啓坊の恋人であるからだ。僕は昔の御主人の御恩を忘れないからこそ、命懸けで忠義を尽したつもりだのに、そんな風に取られては遣り切れない。僕だって常識があるから、自分のような者の所にこいさんが来てくれはるかどうかぐらい、分っている。―――と、そう云うのであると云う。それなら妙子はこの二人の云い分をどう判断しているかと云うと、正直のところ、うちは板倉のほんとうの気持をうすうす感じていないではない、板倉も利根だから、そんなことを色にも出しはしないが、あれ迄の冒険をしてうちを助けてくれたのは、多分単純な旧主人への恩返しや忠義ばかりではないであろう、彼自身それを意識しているかどうかは別として、啓坊に忠義を尽すよりはうちに忠義を尽しているのかも知れない、が、仮にそうであったとしても何も差支えない訳である、彼が埒を越えない限り此方も知って知らん顔していたらよい、あの通り中々重宝な男で小まめに用足しをしてくれるから、精々利用したらよいし、向うも利用されることを光栄に思っているのだから、そう思わせて置いたらよい、―――と云うのであって、彼女はその腹で彼と附合っていたのであるが、啓ちゃんが気