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おだのぶなが
織田信長
線上閱讀坂口 安吾《織田信長(おだのぶなが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,950 字 · 36 頁
道三は二十町ほど見送ったが、信長方の槍が自分方より長いのに興をさました様子で、信長と別れてからはウンともスンとも言わなかった。
黙々と歩いて、アカナヘという地名の処へきたとき、猪子兵介が道三に向って、
「どうですか。やっぱり、あいつ、バカでしょうが」
と言うと、
「さればさ。無念残念のことながら、今にオレの子供のバカどもが、信長の馬のクツワをとるようになるにきまっていやがる」
と道三は答えた。彼の仏頂ヅラは当分とけそうもなかったのである。
彼はトコトンまで信長に飜弄されたことを知った。自分の方が飜弄するつもりでいただけ、その後味はひどかった。道三は信長の人物を素直に見ぬくことができたが、信長の家来どもは素直ではなかったから、彼らには、やっぱり主人が分らなかったのだ。
彼らは信長の殿様然たる風姿をはじめて見て、さては敵をあざむくための狂態であったかなどと考えて、然し、それで、主人の全部をわりきることも出来なかった。
敵をあざむくためなどゝ、信長はそんなことは凡そ考えていなかった。彼は人をくっていた。人を人とも思わなかった。世間の思惑、世間ていは、問題とするところでない。