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ろうじんとはと

老人と鳩

小山 清

線上閱讀小山 清《老人と鳩(ろうじんとはと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,751 字 · 10 頁

青空文庫

老人、これは言えた。正しく年老いた老人である。

春は三月の中旬に野桜が咲いた。野桜は見事であった。大きな池の傍に老人はベンチに腰を下した。ここは人々が来る場所ではなかった。池には葦が茂っていて、雀が鳴いていた。マガモが雌雄で游いでいた。鮒が游いでいた。ベンチに腰を下し、池を眺めてじっとしていたが、二時間から三時間はかかっていた。

夏は小さい庭の桃の実が生った。桃の実は一昨年は五拾個で去年は四拾個で、今年は六拾個であった。甘かった。紫陽花は小さい茎を植えたのだが、四年に始めて花を開いた。大きな池では水すましが游いでいた。蜻蛉、蝶が飛んでいた。蝉が鳴いていた。夜、池では蛙が鳴いていた。

秋は枯野原に可憐なコスモスが咲いた。小さい川が流れていた。ボール、牛乳の空瓶、運動靴、棒切れ、下駄が流れていた。小さい橋の上で疲れてしゃがんでいることが多かった。よしきりばしと言っていた。なかなか名が分らなくて参った。そのうち、いつか、読めた。

冬は家の庭で日向ぼっこをしていた。窓硝子を開放していた。野原の一軒家で、誰も来なかった。空は青空であった。陽は照っていた。庭の寝椅子に腰を下していた。