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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《聞書抄(ききがきしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,821 字 · 210 頁

青空文庫

中

の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)を、私が手にかけて殺したのですと云う言葉に、樊はきっとなって眼の色を変えたが、此方は落ち着いて、まあ/\、これから委しく事の仔細を申しますから一と通り聞いて下さいと云う。そしてはんかいが気を押し鎮めて固唾を呑んでいるのを見ながらおもむろに語り始めるのであった。

中

都の方だったら大方お聞きになったことがあるでしょう、わたしの名は三条の荒五郎と云って、九つの年に盗みを始め、十三の年に人を斬り始め、その上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)までに三百八十餘人の人を斬りましたので、夜討強盗を身についた能と心得ていましたが、宿執因果の積り積ったせいでしょうか、今お話のあった年の、何でも十月頃からでしたか、盗みをしても一向にうまい仕事がなく、山賊をしても獲物がなく、今度こそはと思ってかゝっても見込みが外れることばかり。そのためにたいへん難渋しまして、朝夕のけぶりも立てかね、妻子の者もみじめなざまになりましたので、自然面白くないものですから、十一月頃からふっゝり家に寄りつかず、此処や彼処のお堂の庇、社の拝殿の床下などに夜を明かしては日を送っていた