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ちゅうどく
聴雨・螢 織田作之助短篇集
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《聴雨・螢 織田作之助短篇集(ちゅうどく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,162 字 · 37 頁
いわば、私は一刻も煙草を手から離さなかった。――というのがもし誇張なら、一刻も煙草を手から離したくなかった――といいかえても良い。教室では教師がはいって来ると、もみ消さねばならなかったが、授業中吸えないというのが情けなくて、教師と入れちがいに教室をぬけ出すことがしばしばであった。遅刻した時も教室の廊下で一本吸ってからはいった。試験の時は、早く外へ出て吸いたい気持にかられて、いい加減に答案を書いて出してしまった。試験の成績など煙草の魅力にくらべると、ものの数ではなかった。いつか私は「朝、眼をさましてから、床の中でぐずついているような男は、配偶者としては、だめである」
という意味の横光さんの言葉を読んで、どきんとしたことがあるが、実は私は横光さんのいわゆるだめな男なのである。私はどんなに寝足りた時でも、眼をさましてから半時間、時に一時間も二時間も、寝床の中でぐずついている癖がなおらない。煙草を吸っているのである。四五本、多くて一箱、朝の床で立てつづけに吸わぬうちは、どんなに急ぎの用事があっても、時間が迫って来ても、私は起きる気にならない。
私は昔も今も夢のない人間だ。