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のうぎらい/のうずき/のうというなまえ

能ぎらい/能好き/能という名前

夢野 久作

線上閱讀夢野 久作《能ぎらい/能好き/能という名前(のうぎらい/のうずき/のうというなまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,317 字 · 9 頁

青空文庫

という言葉の註釈からして行き詰まらねばならぬ。「能」という言葉自身は支那語の発音で、才能、天性、効力、作用、内的潜在力、など言ういろいろな意味が含まれているようである。しかしそんなものの美的表現と註釈しても、あまりに抽象的な、漠然たる感じで、あの松の絵を背景とした舞台面で行われる「お能」の感じとピッタリしない。「仮面と装束を中心生命とする綜合芸術」と註釈しても、何だか外国語を直訳したようで、日本の檜舞台で行われる、実物のお能の感じがない。とは言え「能」は事実上そんな物には違いないのであるが、言わば、そんなものを煎じ詰めて、ランビキにかけた精髄で、火を点ければ痕跡も止めず燃えてしまうようなものである。その感じ、もしくはそのあらわれを「能」と名付けた……とでも言うよりほかに言いようがないであろう。

別の方面から考えるとコンナ事も言える。人間の仕事もしくは動作は数限りない。歩く。走る。漕ぐ。押す。引く。馬に乗る。物を投げる。鉄鎚を振る。掴み合う。斬り合う。撃ち合う……なぞと無限に千差万別しているのであるが、そんな動作の一つ一つが繰り返し繰り返し洗練されて来ると、次第に能に近づいて来る。