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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
「そうそう、彼女はいつか僕にいくらかの金をつくるために、その着物を質に入れていたのだっけ。せめてはあれだけでも出して置いてやるのだった。」
と僕も気がついた。が、今になってそんな気がついたところで仕方がない。
「とにかくあしたは、あいつに金を投げつけてやるんだ。」
六
少しうとうとしていると、誰かが僕の布団にさわるような気がした。
「何をするんだ?」
僕はからだを半分僕の布団の中に入れようとしている彼女を見てどなった。
「(十二字削除)。」
彼女は、その晩初めて口をききだした時と同じように、泣きそうにして言った。
「いけません、僕はもうあなたとは他人です。」
「でも、私悪かったのだから、あやまるわ、ね、話して下さいね。ね、いいでしょう。」
「いけません。僕はそういうのが大きらいなんです。さっきはあんなに言い合って置いて、その話がつきもしない間に、そのざまは何ていうことです。」
僕は彼女の訴えるような、しかしまた情熱に燃えるような目を手で斥けるようにしてさえぎった。彼女のからだからはその情熱から出る一種の臭いが発散していた。
ああ彼女の肉の力よ。僕は彼女との最初の夜から、彼女の中にそれをもっとも恐れかつ同時にそれにもっとも引かれていたのだ。