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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
これが僕の、もっともそのわけさえ話せば母は自分の過言をあやまって僕をほめてくれたに違いないとは思うものの、母に対するただ一つのしかし大きな悲しみの思い出だ。
けれども僕はやはり母は好きだった。
その夏のある晩に、みんなで座敷で涼んでいた。ふと、次の妹が庭先を見つめながら、
「あれえ」と叫び出した。みんなはびっくりして庭の方を見た。暗い隅の方に何だかぴかぴかと光る大きな目玉のようなものが一つ見えた。子供等はみな「あら」と言ったままおびえてしまった。
母はすぐに立って庭下駄をはいて下りて行った。僕等は黙ってそれを見送っていた。
「さあ、みんなここへお出で。何にも恐いことはありません。お化の正体はこんなものです。」
母は一人ずつそこへ呼んで、そのいわゆるお化の正体を見せた。それは罐詰か何かのブリキの鑵が二つ転がっていたのだった。
けれどもまた、たぶん僕のいたずらが年とともにますますはげしくなったせいであろうが、母の折檻もますますひどくなった。僕は母と女中と二人に、荒縄でぐるぐるからだを巻きつけられて、さんざんに打たれたことを覚えている。母の留守に女中の言うことを聞かなかったというのがそのもとだったようだ。