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ふねのはへんにのこるはなし
船の破片に残る話
小川 未明
線上閱讀小川 未明《船の破片に残る話(ふねのはへんにのこるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,277 字 · 5 頁
と、いいました。
「金持ちは、金のために、首をつることがあるよ。」と、船長が笑いました。
ちょうど、この船の中に、南洋へいく、大金持ちが乗っていました。金持ちは、大きな腹を抱えるように、ゆったりとした足どりで、甲板の上へ出てきました。
「真珠島は、見えませんかな。」と、いって、あちらをながめました。
船乗り人には、魔の島として知られています。島には美しい娘たちがいて、月のいい晩には、緑の木蔭で踊るということでした。しかし、自然は、どこも、かしこも、人間が荒らしつくしたので、最後に、これらの島を守ろうとするごとく、無数の岩がとり囲み、平常ですら、波が高くて近寄りがたいところとなっていました。
「波は、静かですが、いくらか曇っているので見えません。」と、船長は、答えました。
「どうです、お礼は、いくらでもしますが、真珠島へ、この船を着けてはくださらないか。きっと、あの島へいけば、掘り出しものがあるのだから――。」と、金持ちは、頼みました。
船長は冷ややかに笑っていたが、若い船員たちは、目をかがやかしました。このようすを見て、金持ちは、
「たまには、金を握って、帰って、都会の文明にも接したり、うまい酒も飲んでみるものだ。