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はですがたまんねんわかしゅ

艶容万年若衆

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《艶容万年若衆(はですがたまんねんわかしゅ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,800 字 · 67 頁

青空文庫

呉羽之介はにこりともせず、傍に突立ったままジロリながめて、

「お春どの。そなたは今宵はどうした訳じゃ――何という拙ない手振を見せたのじゃ」

と、お春はにわかに元気付いて却って自慢そうに邪気なく、

「私の舞や唄が拙なくなったのは当然でございます」

「なんということを言うぞ」

呉羽之介は睨め下して、

「私はもうそなたのような、拙ない業しか身に持たぬ、浅間しい娘は厭わしゅうなったじゃ。お春どのどうぞこれまでの縁をば此れきり諦めてしまって下され」

「あれ、何という人悪な」

お春は真に受けぬように、

「私の手振が拙なくなったのをば、若殿様あなたは賞めて下さるのが、順当なのでございまする」

呉羽之介は黙ったまま冷たくお春を眺めています。

「まあまあそんな恐ろしいお眼をしてお睨め遊ばさじと、お聴きなされて下さりませ」

お春は呉羽之介に擦り寄って、

「此れまで私の舞や唄に、美しさの巧みさとでも申すものがあったのは、私の心に恋がなかったゆえでござります。私だとてうら若い娘ごころの悩しさに、折ふし人恋しさに燃えながら、心に叶う男もないまま、ただひたすらに芸道にのみ想を浸し、語りものの中の男女の情けの戯れは、おのが想いをのみ込ませて、舞台の恋を真の恋と思い倣して居りましたゆえ、此れ迄の私の舞や唄には恋の歓び、恋の哀しみ、とりどりな真心が流れ