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しば、あざぶ

芝、麻布

小山内 薫

線上閱讀小山内 薫《芝、麻布(しば、あざぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,170 字 · 15 頁

青空文庫

菊五郎が芝公園に住んでいたので、二、三度遊びに行ったこともあった。六代目は話好きで、夜おそくまで客を帰さなかった。併し、私は近いので、気を揉まずに済んだ。公園の六代目の家のことで、私が一番はっきり覚えていることは、宏大な台所の揚板の下に平野水の瓶が列をなしていたことである。六代目はウィスキイが強かった。

麻布の更科という名代のそば屋は、ちょうど森元の通りを突き当ったところにあった。左団次は先代以来、十二月の三十一日に一門を引き連れて、ここへそばを食いに来るのが家例になっていた。或年の大晦日に高島屋が森元の家へ、私を誘いに寄ったことがあった。

森元の住居は高輪の化物屋敷と違って、鼻がつかえる程狭かったか、日当りがよくて、あたりが静かで、思いの外住心地がよかった。が、ここで三人になった子供が、とっかえ引っかえ病気をした。

私は出先から電話で呼ばれて、何度自動車を飛ばしたか分らなかった。今でも、森元の話が出ると、何よりも先ず子供の病気を思い出す位である。私は枕を列べて呻吟している三人の子供の看護に、夜も寝なかったことが度々あった。

家の直ぐ前に井戸があった。