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はなび
花火
線上閱讀太宰 治《花火(はなび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,233 字 · 29 頁
久しぶりで散歩に来てみたが、昔とそんなに変ってもいないようだね。」
けれども、気まずいものだった。それっきり言葉もなく、四人は、あてもなくそろそろと歩きはじめた。沼のほとりに来た。数日前の雨のために、沼の水量は増していた。水面はコールタールみたいに黒く光って、波一つ立たずひっそりと静まりかえっている。岸にボートが一つ乗り捨てられてあった。
「乗ろう!」勝治は、わめいた。てれかくしに似ていた。「先生、乗ろう!」
「ごめんだ。」有原は、沈んだ声で断った。
「ようし、それでは拙者がひとりで。」と言いながら危い足どりでその舟に乗り込み、「ちゃんとオールもございます。沼を一まわりして来るぜ。」騎虎の勢いである。
「僕も乗ろう。」動きはじめたボートに、ひらりと父が飛び乗った。
「光栄です。」と勝治が言って、ピチャとオールで水面をたたいた。すっとボートが岸をはなれた。また、ピチャとオールの音。舟はするする滑って、そのまま小島の陰の暗闇に吸い込まれて行った。トトサン、御無事デ、エエ、マタア、カカサンモ。勝治の酔いどれた歌声が聞えた。
節子と有原は、ならんで水面を見つめていた。