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めはのびる

芽は伸びる

小川 未明

線上閱讀小川 未明《芽は伸びる(めはのびる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 5,010 字 · 11 頁

青空文庫

その桑の葉はつやつやとして、色が黒く、厚くて、ほんとうにうまそうです。こんな葉を食べているおかいこは、きっとよくふとっているだろう。そして、いい繭を造るにちがいない。競争は、泉の勝ちかもしれないと、誠一は思いました。

学校の帰り道で、戸田といっしょになったのです。

「君のところの桑の葉も、こんなに大きくて、おいしそうかい。」と、誠一は、たずねました。

「まだ、木が小さいからね。」

「僕は、原っぱに生えている桑の木の葉を取ってきたけれど、かたくて、おいしくなさそうだ。」

「それは、こやしを、やらないからだよ。」

「これは、こやしがきいているんだね。」

「そうさ。」と、戸田は、なぜかくすくす笑いました。

「僕、毎朝、自転車にのって、もらいにいこうかな。」

「泉の家の前は、桑畑なんだぜ。だから、すこしばかり取ったって、かまわないのさ。」

「泉の家から、火葬場が近いんだってね。」と、誠一が聞きました。

「だから桑の木のこやしに火葬場の灰をやるんだよ。」

「えっ、火葬場の灰をやるの。」

「いってみたまえ、根のところが白くなってるから。」

「僕、もういくのをよした。」

「どうして。」