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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《苦心の学友(くしんのがくゆう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 頁

青空文庫

「はあ」

「勇は逆徳なり。兵は狂器なり。軽々しく用いてはなりませんぞ」

と安斉先生はダンダンむずかしくなる。

翌朝学校へゆくと、皆が正三君の周囲に集まった。

「どうだい? きみ」

「もうなんともない」

と正三君は口ばたをおさえた。そこへ高谷君がはいってきた。

「どうだい? きみ」

とまた皆がとりまく。二人とも大変な人気だ。つぎに堀口生がノッソリとあらわれた。今度はだれもよりつかない。しかし堀口生は自分の方から進みよって、

「内藤君、高谷君、昨日は失敬した。それから皆、今までは僕がわるかった。堪忍してくれたまえ」

といった。後悔したものの、一時的だろうと思っていたから、これは案外だったので、

「僕こそ」

「もう仲よくしよう」

と高谷君と内藤君も覚えず進み出た。堀口生はおじぎをした。高谷君と内藤君もおじぎをした。見ていた連中は手をたたいた。ひやかしたのではない。感心したのだった。

まもなく鐘が鳴った。第一時間は数学だった。橋本先生は出席点呼をおわったが、授業を始めずに、教室を睨みまわした。一番こわい先生だ。生徒たちはもう察した。あの喧嘩があのきびしい級担任に知れないでいるはずはない。