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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《草迷宮(くさめいきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,733 字 · 142 頁
主ゃそこで早や、貴女の術で、活きながら鋏の紅い月影の蟹になった、とあとで村の衆にひやかされて、ええ、措けやい、気味の悪い、と目をぱちくり、泡を吹いたでござりますよ。
笑うてやらっしゃりませ。いけ年を仕って、貴女が、去ね、とおっしゃったを止せば可いことでござります。」
法師はかくと聞いて眉を顰め、
「笑い事ではない。何かお爺様に異状でもありましたか。」
「お目こぼしでござります、」
と姥は謹んだ、顔色して、
「爺どのはお庇と何事もござりませんで、今日も鶴谷様の野良へ手伝いに参っております。」
「じゃ、その嘉吉と云うのばかりが、変な目に逢ったんだね。」
「それも心がらでござります。はじめはお前様、貴女が御親切に、勿体ない……お手ずから薫の高い、水晶を噛みますような、涼しいお薬を下さって、水ごと残しておきました、……この手桶から、」……
と姥は見返る。捧げた心か、葦簀に挟んで、常夏の花のあるが下に、日影涼しい手桶が一個、輪の上に、――大方その時以来であろう――注連を張ったが、まだ新しい。
「水も汲んで、くくめておやり遊ばした。嘉吉の我に返った処で、心得違いをしたために、主人の許へ帰れずば、これを代に言訳して、と結構な御宝を。