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「くさのしんぺいししゅう」かいせつ

「草野心平詩集」解説

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《「草野心平詩集」解説(「くさのしんぺいししゅう」かいせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,303 字 · 11 頁

青空文庫

然しこれはどうなることやら、今のところ保証の限りでない。

八

心平さんは、富士山の詩人であるよりも、より多く「蛙」の詩人である。そしてここに於て、最も独特である。

心平さんが著した最初の印刷詩集は、たしか、蛙の詩を集めた「第百階級」だった筈だ。そして最近にも蛙の詩を書いている。つまり、最初から蛙を歌い続けておるし、なおいつまで続くか分らないのだ。

第百階級とはよくも名づけたものである。この原始的動物を心平さんは掘り出し、大事に護り育ててきた。蛙を歌った詩歌の類は古今東西に散見されるが、心平さんのようにこれを愛育した例は、他にない。

富士山が象徴であるように、心平さんにとっては、蛙も一種の象徴である。一種の、と言うのは、富士山の場合と少しく意味合が異るからだ。心平さんは先ず蛙を、あくまでも蛙として追求する。時によっては客観的にさえ追求する。追求してるうちに、しぜんと、他のものが付加されてゆく。何が付加されるか。それは、蛙自体の成長そのものだ。よそから、持って来られたものではない。蛙自体が成長して、やがて、人間と肩を並べる。蛙の本質的脱皮だ。