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くさもみじ
荷風随筆集(下)
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《荷風随筆集(下)(くさもみじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,512 字 · 63 頁
これを憂慮すれば子供はつくらぬに若くはない。
わたくしは既に中年のころから子供のない事を一生涯の幸福と信じていたが、老後に及んでますますこの感を深くしつつある。これは戯語でもなく諷刺でもない。窃に思うにわたくしの父と母とはわたくしを産んだことを後悔しておられたであろう。後悔しなければならないはずである。わたくしの如き子がいなかったなら、父母の晩年はなお一層幸福であったのであろう。
父と母とは自分たちのつくったものが、望むようなものに成らなければ、これを憎むと共に、また自分たちの薫陶の力の足りなかったことを悲しむであろう。猫が犬よりも人に愛せられないのは、犬のように柔順でないからである。わたくしの父はわたくしが文学を修めたことについて、いかに痛嘆しておられたかは、その手紙の外には書いたものが残っていないので、今これを詳にすることができない。しかし平生儒学を奉じておられた事から推量しても、わたくしが年少のころに作った『夢の女』のような小説をよんで、喜ばれるはずがない事は明である。
父は二十余年のむかしに世を去られた。そして、わたくしは今やまさに父が逝かれた時の年齢に達せむとしている。