輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
きくづきよ
菊月夜
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《菊月夜(きくづきよ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,129 字 · 32 頁
信三郎がなにを話しだそうとしているかすぐにわかったのだろう、面を伏せながら慎ましく遮ぎるように口を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)んだ。
「……なんのお話かは存じませぬけれど、できることならまた次に伺いとうございます、今はなにやら心が紊れておりますから」
「そうですか、では高力どの切腹の検分が済んでから改めて申上げることに致しましょう、どうかしばらくお待ちください」
そういって信三郎が立ったとき、小房はふとなにか思いだしたように、
「信三郎さま……」と呼びかけた。彼はふり返った。小房はその顔をじっと熱いまなざしで見まもっていたが、すぐ淋しげに唇で笑い「……いいえ、あとでまたお眼にかかりましたときに……」そう云ってしずかに会釈をした。いかにも淋しげな笑いであり心惹かれる言葉だった。たとえていえば、秋雨に濡れわたる芒の繁みのなかに、一つだけひっそりと咲く桔梗の花ででもあるかのような、あわれにかなしい姿だったのである。
忠左衛門切腹の検分が終り、家族国払いの始末が済むと、信三郎はふたたび大目附役所へ戻った。しかし小房はすでにいなかった。