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あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《葦は見ていた(あしはみていた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,985 字 · 36 頁
しかも東次郎は穏やかに話すつもりだったし、辛抱のできる限り穏やかに話した。けれどもこちらが逆上しているので、たちまち声が荒くなり、互いに言葉がするどくなった。
――意見めいた口をやめろ、本心を云ったらどうだ。
計之介が嘲笑して云った。
――おれに女と別れろというのは、おれのためではなく、女と別れさせて、おれを自分の妹といっしょにさせるためだろう。
――深江の名を出すな、深江の知ったことではない。
――深江さんとおれとは五年まえから婚約がある、それは家中でたいていの者が知っている、女のためにそれがこわされては面目にかかわるから。
――黙れ、黙れ藤吉。
東次郎は叫んだ。
――きさまそんなにも卑しくなったのか、あの女のために、そんなにも卑しい人間になったのか。
――女がどうしたって。
――相手がどんなに卑しい女だからって、自分まで卑しくなるとは情けないやつだ。
――その言葉は赦せないぞ。
――卑しいと云ったからか。
――女を誹謗したからだ、取消せ。
――いやだと云ったらどうする。
――念には及ばない、決闘だ。
すると東次郎は冷笑して云った。
――決闘などと云う気持ぐらいはまだ残っていたんだな。