輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ぐびじんそう
虞美人草
線上閱讀夏目 漱石《虞美人草(ぐびじんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 頁
大悲閣の温泉などは立派に普請が出来て……」
「そうですか」
「小督の局の墓がござんしたろう」
「ええ、知っています」
「彼所いらは皆掛茶屋ばかりで大変賑やかになりました」
「毎年俗になるばかりですね。昔の方がよほど好い」
近寄れぬと思った小野さんは、夢の中の小野さんとぱたりと合った。小夜子ははっと思う。
「本当に昔の方が……」と云い掛けて、わざと庭を見る。庭には何にもない。
「私がごいっしょに遊びに行った時分は、そんなに雑沓しませんでしたね」
小野さんはやはり夢の中の小野さんであった。庭を向いた眼は、ちらりと真向に返る。金縁の眼鏡と薄黒い口髭がすぐ眸に映る。相手は依然として過去の人ではない。小夜子はゆかしい昔話の緒の、するすると抜け出しそうな咽喉を抑えて、黙って口をつぐんだ。調子づいて角を曲ろうとする、どっこいと突き当る事がある。品のいい紳士淑女の対話も胸のうちでは始終突き当っている。小野さんはまた口を開く番となる。
「あなたはあの時分と少しも違っていらっしゃいませんね」
「そうでしょうか」と小夜子は相手を諾するような、自分を疑うような、気の乗らない返事をする。変っておりさえすればこんなに心配はしない。