輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《虞美人草(ぐびじんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 頁

青空文庫

二尺前むと向うでも二尺前む。三尺四尺は愚か、千里を行き尽しても、タンタラスは腹が減り通しで、咽喉が渇き続けである。おおかた今でも水と菓物を追っ懸けて歩いてるだろう。――未来の管を覗くたびに、小野さんは、何だかタンタラスの子分のような気がする。それのみではない。時によると藤尾さんがつんと澄ましている事がある。長い眉を押しつけたように短かくして、屹と睨めている事がある。柘榴石がぱっと燃えて、※(「陷のつくり+炎」、第3水準1-87-64)のなかに、女の姿が、包まれながら消えて行く事がある。博士の二字がだんだん薄くなって剥げながら暗くなる事がある。時計が遥かな天から隕石のように落ちて来て、割れる事がある。その時はぴしりと云う音がする。小野さんは詩人であるからいろいろな未来を描き出す。

机の前に頬杖を突いて、色硝子の一輪挿をぱっと蔽う椿の花の奥に、小野さんは、例によって自分の未来を覗いている。幾通りもある未来のなかで今日は一層出来がわるい。

「この時計をあなたに上げたいんだけれどもと女が云う。どうか下さいと小野さんが手を出す。女がその手をぴしゃりと平手でたたいて、御気の毒様もう約束済ですと云う。