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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ(みつのあわれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,662 字 · 174 頁
」
「あたい、麩なんかぐにゃぐにゃしていや、塩からい、わかさぎの乾干がつっつきたいんですもの、くたびれちゃった。」
「じゃ乾干をおたべ。」
「あ、美味しい、おじさま、井戸水を汲んで来てちょうだい、柔らかい水にじっと、少時、かがみ込んで見たいわ。」
「よしよし、ほらおいしい井戸水だよ。」
「藻も少しいれてよ、古いのは棄てちゃって、ごわごわした生きのいいのがいいわ。あ、わすれていた。どう、この歯は立派でしょう。」
「あってもなくてもいいのに、おしゃれだね、きみは、」
「だって晩にはしくしくと何時までも疼いて、どうにも手がつけられないんですもの、おじさまがそんなに冷淡なこと仰有ると、化けて出るわよ。」
「金魚が化けられるものかい。」
「あたいね、ときどきね、死んだら、も一度化けてもいいからお逢いしたいわ、どんなお顔をしていらっしゃるか見たいんですもの。あたい達の命ってみじかいでしょう、だから化けられたら、何時か化けて出てみたいと思うわよ。」
「まだまだ死なないよ。夏は永いし秋もゆっくりだもの、冬は怖いけれど。」
「冬は怖いわね、からだの色がうすくなっちまうし、おじさまはお庭に出なくなるし、ねえ、冬んなったらお部屋にいれてね。