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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《街はふるさと(まちはふるさと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 頁

青空文庫

「先生は私のどこがお好きなの」

「今日のあなたは一流だよ」

「ヒョッと思いついただけよ」

せつ子は静かに唇をよせて、

「先生は一流ね。なんでも、ヘイチャラなのね。一流でなければダメだわ。青木さんなんか、ダメ」

「一流の人間は三流四流を好むものかも知れないよ」

「じゃア、私は四流のパンパンよ」

せつ子は長平のクビにまいた腕にグイと力をこめて、下へ倒れた。泣声をたてて、唇を押しあて、せつ子は理性を失った別人であった。唇をはなして、

「さっきの裸体は踊子よ。私の裸体は、もっとキレイ。もっとステキだわ」

情熱にふるえて、ウワゴトのようだった。

十一

長平の離京は一週間ほどのびた。せつ子に全集の発行を許すについて、他の出版社との行きがかりから、いろいろ雑用があったからである。

放二と記代子もせつ子の社で働くことに話がきまったが、ちょうど放二たちの社は経営難で、売れない雑誌を廃刊し、事業を縮小する必要にせまられていたから、この方は面倒がない。渡りに舟と編集長の穂積までせつ子の方へ譲り渡す始末であった。

いよいよ明日は離京という晩、長平がおそく宿へもどると、茶室に青木が待っていた。