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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《街はふるさと(まちはふるさと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 頁

青空文庫

それは雑誌の編集に特に抱負があったからで、編集上の見識や才腕を特に見込んだ者でなければ、雑誌部へは入れなかった。

「青木さん。ビール、のませる?」

「やむをえん」

「たびたび、相すみません」

青木と記代子は、ちかごろ、たいがい、一しょであった。青木は、そのことで、ほろにがい思いをしていたのである。

記代子は放二を怒っているのだ。なるべく残業するようにして、一しょに遊ぶのを避ける様子があるからである。青木はそれを見かねて、若い二人を仲よく遊ばせてやるために、時々二人をさそったが、放二はそこからも身をひくようにして、青木と記代子二人だけで一しょに歩くのが自然になった。青木はつとめて放二を誘うようにしたが、記代子は放二を誘わなくなった。

暑気が加わってから、放二のからだは、めっきり衰えていた。二度、軽く血をはいたことがあったが、それを誰にも悟られぬようにしていた。

少年時代から病弱で、寝たり起きたりの生活はウンザリするほど重ねてきたが、養父母の仁愛ふかい看護の下で、彼が体得したことは忍耐であった。

あるとき、放二はオリムピック・マラソン選手の戦記をよんだ。彼らは時々ある地点に於ては、激痛のあまり知覚を失ってしまうのだ。