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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

線上閱讀杉山 萠円《街頭から見た新東京の裏面(がいとうからみたしんとうきょうのりめん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 頁

青空文庫

北の方、千住、亀戸、深川、それから芝の金杉方面にも居るには居るが、これは江戸ッ子としては少し品が落ちる。北の方から深川方面のは寧ろ貧民に近い方で、芝の金杉方面のは貧民ではないが、イナセな気分が些ない。尚、山の手で純江戸ッ子らしい気前を見せるのは青山方面だけで、そのほかのは矢張り貧民に近いか、又は多少シミッタレているとのことである。

しかし、何といっても江戸ッ子が一番よけいに逃げ込んでいるのは、東京市内の各所にある市営の避難民バラックである。しかもここには江戸ッ子のあらゆる階級を網羅しているので、こちらには立ちん坊、そっちには俥屋、隣りには呉服屋の旦那、向家には請負師といった風である。非道いのになると、新橋の芸者を落籍して納まっている親分や、共同水栓で茶の湯を立てている後家さんも御座るといった調子で、これが大多数の熊公八公や諸国人種と入れまじって、天晴れ乞食長屋を作り、お上の立ち退き命令を鼻であしらっているわけである。

ちょっと見ると、どれがどうやらわからぬし、納豆を売って見ても、その買いぶりに各所共通の避難民式というのが出来ていてわかりにくいが、流石に育ちは争われぬもので、よく気をつけて見ると、どことなく買いぶりが違う上に、言葉が第一争われぬそうである。