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がいとうからみたしんとうきょうのりめん
街頭から見た新東京の裏面
杉山 萠円
線上閱讀杉山 萠円《街頭から見た新東京の裏面(がいとうからみたしんとうきょうのりめん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 頁
そのほかおろし婆、御祈祷師なぞは勿論の事、普通の漢方医でも内々この医術を売り物にしていたと察せられる。一説に依ると、徳川時代のすべての医術の中で最も有効に発達したものはこの方法で、この方法の下手な医者は大家に出入りする資格は無かった。否、この手術だけ心得ていれば、あとは売薬を詰めた百味箪笥と、頭の形と、お太鼓持ちだけで、立派なお医者様として生活が出来たという位だから恐ろしい。
このほか医者でも何でもなくて、のれんや看板に堕胎を業とする意味のものを染めたり、描いたりしているものがあったという。たとえば子持縞に錠を染め出すとか、温州の種なしみかんの絵とか、山吹の花を表したものなぞである。
そうした中でも、この種の商売を殆ど公然の秘密のように行っていたのは、今でもある悪姙婦預り所であった。つまり女医や産婆の宅あずかりである。殊に面白い――といってはわるいが、その預り賃が七八ヶ月間最低一両内外で、上は限りなし、大家のお嬢さんなぞで間違いの出来たのが、よく乳母の里へ預かるなぞいうことが物の本にも出ているが、実はここに来て始末したのが多かったそうである。そうしてその流した子は、一朱内外を添えて、隅田川のほとり、本所の回向院へ収めたという事が書き添えられている。