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いふくとふじんのせいかつ
衣服と婦人の生活
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《衣服と婦人の生活(いふくとふじんのせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,495 字 · 17 頁
大貴族の婦人達は勿論自分で縫物などはしなかったけれども、貧乏貴族ぐらしの藤原の末流の人達になれば姫といっても自分で縫物をしたし、家中の縫物もさせられるような哀れな状態であった。王朝時代の文化と文学との中に美しい綾や錦を縫いつづけて、その細い指先が血を流した落窪の物語があることは注目に価する。
藤原時代の経済は荘園制の上に立っていた。京都にいる貴族の所有地である荘園とそこの住民は荘園の主にまかされて、すべての生活必需品を現物で京都の貴族たちに収めなければならなかった。あらゆる貴重な織物もこうして荘園の女の努力からつくられた。藤原時代というと十二単衣ばかりを思いおこすけれども当時一般の女ははだしか又は藁草履でさらさない麻を着るような生活をしていた。綿というものは貴重品だった。徳川時代になって服装は、一層複雑に当時の封建社会の矛盾をてらし出すようになった。
擡頭しはじめた町人が、金の力にまかせて、贅沢な服装をし、妻女に競争でキラをきそわせたことは西鶴の風俗描写のうちにまざまざとあげられている。幕府はどんなに気をもんで、政治的な意味でぜいたく禁止令を出したろう。